Canon EOS5DマークⅡ EF50㎜f1.8STM 丸の内にて
少年の日の思い出・・・
僕の実家は福島の山の中だ
小学生の頃、自宅から学校までは
バスで通っていた
片道6キロ
その日は、12月の終業式の日
学校は午前中に終わり
僕たちはウキウキとしながらバス停までの
道を歩いていた・・・
時間は11時くらいだったろうか
自宅に向かうバスがくるのは
14時15分・・・
バス停で待つにはちょっと長い・・・
ということで、僕たちは家まで
歩いて帰ることに・・・
バス停を横目に家に向かって歩き出した
これは、珍しいことではなく
帰りのバスが14時15分と16時15分の2本しかなかったため
よく歩いて帰っていた
2時間ちょっと歩いて
もうすぐ家に着くというところで
ちょっとショートカットしようということになった
国道から家に帰るまで
普通に道を帰ると
まだ、後1キロ近くあるのだ
崖のところの獣道を行けば
大幅にショートカット出来、10分以上短縮出来る
普段通り慣れている道なので
何の躊躇もなく藪をかき分け登って行く・・・
と、その時、遠くで
「ダーン!」
という銃声が聞こえた
と、同時に僕の頭上で
「バーン!」
と何かが炸裂した
「うわー!!」
と叫んで、僕たちは道に伏せた
崖で炸裂した石が、僕の頭に落ちてきた
「イテェ!!」
伏せた後頭部にわりと大きめの石がガン!と当たった
狙撃された!と僕たちは瞬時に悟った
「うわー、打たないで下さ〜い、人間です〜」
と叫びながら匍匐前進しながら道を進む
「うわー、うわー」
と叫びながら崖の獣道を登る
そのまま、一目散に家に帰った
家に帰ると
珍しく母が帰ってきていた
興奮した僕が母に訴えた
「今さ、獣道で銃で撃たれたんだよ、ほら、石が当たって怪我したんだよ」
と、さっき石が当たった後頭部を見せる
母はベランダで洗濯物を干しながら、呑気に
「何だべ、そんなこどして、お母さんが怒ってやっから
撃った人連れでこ!」
訳(もう、そんなことして、お母さんが怒ってやるから
撃った人連れてきなさい!)
と言われたもんだから
僕も、
「よーし、捕まえちゃる」
と、ムキになって犯人探しに家を飛び出していった・・・
数分後、ふと話を反芻した母がやっと事の重大さに気づき
慌てて警察に電話をした
30分後、撃たれた現場に警察官がやってきた
「あいや、これでねけ?弾のケースおっこっでるわ」
訳(お、これじゃないかい?弾のケースが落ちてるよ)
「今、調べたんだけんちょも、わがんねなぁ
今日、10人も山さ入っでて誰が撃ったんだがわがんねわ」
訳(今調べたのだけれど、わからないね。今日は10人も山に
入ってるから、誰が撃ったかわからないよ)
と、のんびりとした感じで言っていた
「ま、散弾じゃなくで、一発玉で良かったどな
散弾だったら、死なねけんちょも、鉛玉だらけになってたど
たんこぶくらいで良がったない」
訳(まあ、散弾じゃなくて良かったね。散弾だったら
死なないけど、鉛玉だらけになってるところだったよ。
たんこぶくらいで済んで良かったね)
ああ、こりゃ犯人見つける気無いなと僕も諦めるしかなかった
これが、今でも語り継がれる
「信也、イノシシと間違われて狙撃事件」だ・・・